コラム

2017.05.26

TPO

通勤電車が途中駅で停車し、向かい側のホームに目を向けると、ベンチに腰掛けて菓子パンを無心に頬張る若い女性が視界に入ってきた。
顔の作りは小動物のように目がクリッとしていて可愛らしいのだが、周りの視線を全く気にせずひたすらむしゃむしゃ口を動かしているところまで口いっぱいに木の実を頬張るリスを想起させた。
リスなら可愛らしいのだが…。見てはいけない物を見てしまったような気分になり、即座に視線を逸らした。

待ち合わせの時間より早めに着いたカフェで見かけた40代と思しき女性は、口紅すら引いていない化粧っ気のない顔に、極めてシンプルな装いだった。
普通その年齢でノーメークに地味な服装だとみすぼらしく映ってしまいそうだが、彼女はなんとも言えない艶っぽさを醸し出していた。
ずっと眺めていたいと思わせる何かがあった。
この女性を描写するのにスッピンという言葉を使用すべきか迷い、語意を改めて調べてみた。
スッピンという言葉は本来「素のままでも美しい」という意味だったらしい。
正に、カフェで見かけた件の女性は素嬪だった。

電車の窓に映る周囲の人々の姿を見るともなく見ていたら、映画「リング」の貞子を彷彿とさせる姿に遭遇し、間に2,3人挟んで左隣に立つ生身の本人に目を移した。
品の良い通勤服を着こなす艶やかなロングヘアの若い女性が無心にスマホの画面を凝視している。
口角は下がり、眉間には深く皺が刻まれている。スマホの画面を操る細長い指にはきれいにマニキュアが塗られている。
隙のない垢抜けた出で立ちのせいか般若の様な形相は一段と際立って、薄ら寒い感覚を覚えた。

病院の待合室で見かけたある女性は既に老年に差し掛かっているのは明らかだったが、全体的に白髪が目立つ髪にはふんわりとウェーブがかかり、年齢相応に皺が刻まれている顔を優しく包んでいた。
更に、着心地良さそうなグレーのセーターとスラックスはやせ過ぎでも太り過ぎでもない健康的な体型を引き立てていた。
彼女は車椅子に乗った母親らしき女性に付き添って来ていたのだろうが、病院特有の全体的にどんよりとした照明の下でも全くくすんでいなかった。

ある日、途中駅から乗車してきた女性の顔立ちが際立って美しく、一瞬にしてその相貌に目が釘付けとなった。
彼女は座席に座っている私の目の前に立ち、一緒に乗り込んできた恋人らしき男性に話しかけ始めた。
目の前で繰り広げられている会話は聞き耳を立てなくとも自然と耳に入ってきた。
特段汚い言葉を口にしているわけでもないのに聞こえてくる発言は下品な響きを持ち、せっかくの彼女の美貌も、一言発する度に色褪せていった。

最近電車の中をはじめカフェや病院など公共の場で良くも悪くも目を引いた見知らぬ女性たちを何の脈略も無く5人挙げてみた。
我々は子供のころからTPOに気を配るようにと教えられてきた。
その場に合った服装や立ち居振る舞いを身に着けることによって周囲に不快な思いをさせないように。
しかし、どのような姿や立ち居振る舞いを好ましく或いは不快に思うかには個人差がある。
ある人にとって好ましい服装や立ち居振る舞いが他の人にとって不快という場合もある。
あらゆる人に対してあらゆる場面に於いて好ましくある事はほとんど不可能ではあるが、少なくとも不快ではなく、時には素敵だと思われるような印象を他者に与えられるように心がけたい。
とりあえず、肌のくすみやたるみのせいで倦怠感を漂わせないようFaceFXリジューでお手入れをせねば。

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